過去の受賞者TOP日本自然保護大賞2017(平成28年度)受賞者 活動紹介/講評シンポジウムの様子

日本自然保護大賞2017(平成28年度)授賞式・活動発表報告

2017年2月19日(日)、「日本自然保護大賞」の授賞式と記念シンポジウムを東京の3×3 Lab Future(千代田区)で開催しました。 受賞関係者や聴講者などが集まり、受賞8団体(個人を含む)の代表が活動を発表しました。
シンポジウムでは受賞活動の講評と活動発表が行われ、非常に多くの学びと感動を与えてもらいました。

2015年度(平成27年度)授賞式・活動発表報告

授賞式 開会

授賞式 開会開会の挨拶では、選考委員長の日本自然保護協会理事長の亀山章より、多くの方々のご応募と、ご支援のご協力をいただき、日本自然保護大賞の開催ができましたこと、今年も全国より、受賞された皆様方にお集まりいただき授賞式と記念シンポジウムを開催できる運びとなったことへの御礼と、選考の総評を述べました。

【大賞】保護実践部門

「日本における大型亜種カナダガンの国内根絶の達成へ向けた活動」
カナダガン調査グループ(神奈川県)

保護実践部門で大賞に輝いたカナダガン調査グループ(神奈川県)は受賞活動である「日本における大型亜種カナダガンの野外からの除去達成に向けた活動」について発表しました。日本初の特定外来生物の根絶事例と環境省によって発表された、カナダガン調査グループの取り組みは、外来生物も侵入初期段階であれば除去が可能であることを実証し、その先駆性が高く評価されました。

カナダガン調査グループ(神奈川県)

【大賞】教育普及部門

「お寺と市民の二人三脚による環境学習活動」
フィールドソサイエティー(京都府)

教育普及部門で大賞に輝いたフィールドソサイエティー(京都府)は受賞活動である「お寺と市民の二人三脚による環境学習活動」について発表しました。フィールドソサイエティーは、市民が誰でも参加できる講演会や自然観察会などをお寺で開催し、お寺が地域コミュニティの活性化や、自然環境教育の場として高い可能性があることを改めて示してくれました。その自然と文化の融合が注目を集めました。

フィールドソサイエティー(京都府)

【大賞】地域の活力部門

「ツシマヤマネコと共生する農村づくり」
佐護ヤマネコ稲作研究会(長崎県)

地域の活力部門で大賞に輝いた佐護ヤマネコ稲作研究会(長崎県)は受賞活動である「ツシマヤマネコと共生する農村づくり」について発表しました。佐護ヤマネコ稲作研究会は、減農薬の米栽培を通して、絶滅危惧種ツシマヤマネコの餌となる生きものを増やすことで保全に貢献するだけでなく、ブランド米として販売することで過疎高齢化した農村の活性化も行っています。これらの里山の自然をそのまま活かした取り組みが高く評価されました。

佐護ヤマネコ稲作研究会(長崎県)

【大賞】自然のちから部門

「限界集落の社会貢献 昔の子どもたちから未来の大人たちへ」
あじ島冒険楽校(宮城県)

自然のちから部門で大賞に輝いたあじ島冒険楽校(宮城県)は受賞活動である「限界集落の社会貢献 昔の子どもたちから未来の大人たちへ」について発表しました。あじ島冒険楽校では過疎高齢化が進む網地島で、島の高齢者が先生となり、島外から来る子どもたちに島の魚釣り「あなご抜き」や竹鉄砲作りなどを教えています。大震災では、大量の瓦礫が砂浜に押し寄せましたが、子どもたちからの励ましの手紙に奮起し、一年で素足で遊べる砂浜を取り戻しました。自然を通した高齢者と子どもたちの交流の在り方に、会場から惜しみない拍手が送られました。

あじ島冒険楽校(宮城県)

【大賞】子ども・学生部門

「種差海岸におけるサクラソウ保全活動」
青森県立名久井農業高等学校 チーム・フローラフォトニクス(青森県)

子ども・学生部門で大賞に輝いた青森県立名久井農業高等学校 チーム・フローラフォトニクス(青森県)は受賞活動である「種差海岸におけるサクラソウ保全活動」について発表しました。サクラソウは種差海岸に咲く、青森県の絶滅危惧種です。チーム・フローラフォトニクスは、東日本大震災の津波による塩害からサクラソウの種子を救出したことをきっかけに、自生地内での人工授粉による遺伝的多様性の維持活動や環境教育などを行っています。その高校生の自発性と、学んだ知識・技術を実践に活かす教育が高く賞賛されました。

青森県立名久井農業高等学校 チーム・フローラフォトニクス(青森県)

沼田眞賞

「学校・地域・行政を巻き込み成功させたサシバ保護活動」
久貝 勝盛さん

沼田眞賞に輝いた久貝 勝盛さん(沖縄県)は受賞活動である「学校・地域・行政を巻き込み成功させたサシバ保護活動」について発表しました。昔宮古諸島では食料とするためサシバ猟が行われていました。保護鳥に指定された後も密猟が行われていたことに心を痛めた久貝勝盛さんはじめとした有志が、「宮古野鳥の会」を設立。地道に学校や行政への啓発活動・パトロールを行い、約35年かけてサシバ密猟防止に成功したことが高く評価されました。

久貝 勝盛(沖縄県)

選考委員特別賞

「気仙沼市大谷海岸での取り組み~砂浜の存続と防潮堤計画の変更~」
大谷地区振興会連絡協議会、大谷づくり検討委員会(宮城県)

選考委員特別賞に輝いた大谷地区振興会連絡協議会、大谷里海づくり検討委員会(宮城県)は受賞活動である「気仙沼市大谷海岸での取り組み~砂浜の存続と防潮堤計画の変更~」について発表しました。防災のために砂浜すべてを埋め立てる、防潮堤を建設する計画が持ち上がった大谷海岸を守るため、住民間で対立構造をつくらないことに注意しながら、住民参加の署名と住民主体の議論・勉強が行われました。その結果、4年をかけて住民の意向を反映し、防潮堤を砂浜の上には作らない計画への変更が決定しました。立場の違いを越えた、市民参加の丁寧な合意形成方法に、参加者から感嘆の声が上がりました。

大谷地区振興会連絡協議会、大谷 里海づくり検討委員会(宮城県)

選考委員特別賞

「ICTを活用した絶滅危惧種シマフクロウの生息保全支援」
富士通株式会社(神奈川県)

選考委員特別賞に輝いた富士通株式会社(神奈川県)は受賞活動である「ICTを活用した絶滅危惧種シマフクロウの生息保全支援」について発表しました。富士通株式会社は絶滅危惧種であるシマフクロウの生息域調査を行っている日本野鳥の会に、鳴き声を自動認識し、高精度で抽出する音声認識プログラムを提供。その結果、音声データ解析時間が大幅に短縮し、新たな場所での生息確認にもつながりました。企業だからこそできる生物多様性の保全活動とその将来性が高く評価されました。

富士通株式会社(神奈川県)

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公益財団法人 日本自然保護協会 日本自然保護大賞担当
〒104-0033 東京都中央区新川1-16-10 ミトヨビル2F
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