活動報告
選考委員特別賞を受賞した「山のトイレを考える会」の授賞セレモニーを開催しました

こんにちは 自然のちから推進部の渡辺です。
1月19日(日)、「日本自然保護大賞2024」選考委員特別賞を受賞した「山のトイレを考える会」への授賞セレモニーを札幌市内(会場:札幌エルプラザ)にて開催しました。
日本自然保護大賞は今年で10回目、前身の沼田眞賞から数えると23回目の開催となりました。昨年からは、全国各地の受賞団体に訪問して授賞セレモニーを開催しています。
「山のトイレを考える会」は、「大雪山国立公園の山岳トイレ問題解決に向けた取り組み」というテーマで選考委員特別賞を受賞されました。登山の途中で立ち寄ったトイレの状態に不快な思いをしたり、また、登山者の少ない山域では、そもそもトイレが存在せず、環境保全上、景観上、深刻な問題を引きおこしている事例があります。最善の解決策として、携帯トイレの携行・使用があるのですが、その普及には様々な課題があるのも事実です。同会は、そうした中で、トイレ問題について「考える」活動だけでなく、現地での実践活動、啓発活動を、地道に、しかし着実に、長年取り組んできました。地域に拠点を置いた官民協働活動を高く評価すると共に、今後の活動の継続を期待され選考委員特別賞の受賞となりました。
授賞セレモニー会場には、同会のメンバー21人が参加。日本自然保護協会専務理事で選考委員を務める神谷有二より賞状と盾を授与しました。

その後、同会代表の小枝正人氏より、改めて2000年から始まった会の活動について発表がありました。
山のトイレを考える会は、2000年ごろから大雪山で登山者によるトイレごみが目立つようになったことで発足されました。そこから現在に至るまで、トイレマップや携帯トイレの紹介などのパンフレット配布などをしてトイレ問題の普及啓発を継続。環境省、美瑛町とも協働で普及啓発と携帯トイレブース設置を行えるようになり、着実にトイレゴミが減ってきたことなどが報告されました。






活動発表の後はメンバーとの意見交換が行われました。
行政との協働の課題に、行政担当者は3年で異動になるため、担当が変わる度にまた最初から教えねばならないことなどもあがりましたが、会のメンバーで北海道大学農学研究院教授の愛甲哲也氏は、「一方で担当者がここで一緒に活動して得たことを異動先の他の地域で広めていたりもしていて、ここが全国の山のトイレ問題を広める拠点ともなっていると思っています。今回の自然保護大賞2024年の受賞は、ちょうど大雪山国立公園指定90周年の年でもありとても良いタイミングで、今後さらに環境省との協働を深め大雪山を守っていくためのきっかけになったと思います」と、話していました。




現在はインバウンドで海外からの登山者も増えている大雪山。海外の人は携帯トイレのことを知らない人がほとんどのことで、山のトイレを考える会としては、今後は海外からくる人向けには特にSNSの発信でトイレ問題について普及していくとのこと。
