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Report活動報告

2026.3.18

2025年授賞式

【日本自然保護大賞2025】
「選考委員特別賞」を受賞されたNPO法人信州草原再生の授賞セレモニーを開催しました。

屋外での集合写真

2026年1月21日、長野県上田市で、日本自然保護大賞2025の選考委員特別賞を受賞されたNPO法人信州草原再生の授賞セレモニーを開催しました。

大寒波が来ているという予報にドキドキしながら上田駅に着くと、当日は穏やかな晴れ間が広がっていました。駅で、NPO法人信州草原再生の皆さまと合流。授賞セレモニーの前に、まずは、今回の受賞活動の舞台にもなっている上田市にある日置電機株式会社の敷地横にある桝池(ますいけ)をご案内いただきました。

2011年の東日本大震災、2018年の西日本大豪雨などを経て、被災地でため池の決壊が起こったことを契機に、全国各地のため池の安全性が問題視されるようになりました。そんな中、国内でも早くにため池の耐震化工事の動きがあった上田市で、希少な植物が失われてしまうことをなんとか防ごうと動いたのが、今回受賞されたNPO法人信州草原再生の皆さまでした。

枡池の視察の様子

現地視察では、すでに耐震化工事を終えた桝池の土手で、NPOの関係者の皆さまから、上田市の草原生態系の歴史性と重要性をご説明いただくとともに、工事に際しては、設計段階から保全計画を相談し、工事前後で表土を剥ぎ取り、戻したこと、一時避難した希少種を元の場所に植え戻したことなど、さまざまなお話をお聞きしました。

一緒に活動をしている日置電機株式会社の水出さんからは、希少種の植え戻し作業には、社内有志も参加され、参加した人は桝池にさらに愛着をもたれたことなどのお話もいただきました。

現地視察の様子

長野県農地整備課の和田さんからは、全国でもこうしたため池の植生保全は前例がなく、どの程度の深さ表土を取ればいいのか、どのように戻せばいいのか、すべて試行錯誤しつつ進めてきた、というお話が印象的でした。

お話をされる和田さんの写真

その後、会場を「まちなかキャンパスうえだ」に移動し、授賞セレモニーを開催しました。

選考委員の藤田香さんからは、今回、選考委員特別賞となった選考経緯とともに、NPOの中心人物で、2025年5月に不慮の事故で亡くなられた筑波大学の田中健太さんについて触れ、田中さんが地域住民や自治体や企業、あらゆる関係者を巻き込み、草原生態系の保全に尽力されたこと、そして、その想いがこれからにつながるようにと、今後の活動への期待を述べられました。

スピーチする藤田氏の写真

NPO法人信州草原再生からは、地域住民の参加を中心的に呼びかけてきた関田さんから活動発表をしていただきました。NPOはあくまでバックアップに徹し地域住民が活動の主体となる活動づくりをしてきたこと、また、今回実施した、ため池の植生保全のための一連の知見を「上田モデル」として全国に広げていきたい、とご発表いただきました。

スピーチする関田さんの写真

NPOの代表であり、草原生態に関する研究者でもある神戸大学の丑丸敦史さんからは、森林生態系などに比べてこれまで草原生態系はあまり人に注目されてこなかったが、上田の草原生態系は400年もの歴史をもち、ブナ林と比べても引けを取らない重要な生態系であるということ、そして、中心人物であった田中健太さんを偲び、田中さんが灯した熱意を次につないでいかねばならない、というお話をいただきました。

スピーチする丑丸さんの写真

多くのキーパーソンの皆さまがいて、想いを分かち合い、歩まれてこられたことが強く伝わってくる授賞セレモニーでした。田中さんが吹き込まれた熱い想いが、上田の草原、そして全国の草原の保全に広がっていくことを期待せずにはいられません。NPO法人信州草原再生の皆さま、そして、お集まりいただいた皆さま、本当にありがとうございました。

集合写真
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